離婚するのにもお金がかかるって聞いたことあるけど、ホントなの?
その通りじゃよ。
離婚に関わる費用についてもいくつかあるのじゃ。費用についてどんな項目があるのか、相場も含めて解説しよう!
離婚することを決意したとき、もっとも心配なのは離婚にかかる費用なのではないでしょうか。
「離婚はお金がかかると聞いたけど、どのくらいかかるの?」
そんな疑問を解消するために、離婚したときにかかる費用や養育費、また離婚成立までの生活費などを詳しく解説していきます。今後の生活、そしてあなたのためにもぜひ参考にしてくださいね。
記事の目次
離婚手続きにかかる費用
離婚の手続きに必要な費用は、どのような形で離婚するかによって変わってきます。離婚の方法としては以下の4種類に分けられます。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 審判離婚
- 裁判離婚
それでは、それぞれの離婚の方法はどういったものか、またその費用について詳しく解説していきます。
協議離婚とその費用
協議離婚とは、夫婦の間で話し合いをして離婚を決めて、市区町村役場からもらってきた離婚届に署名し、印鑑を押してから役所に提出し、離婚を成立させるものです。この場合離婚にかかる費用はかかりません。
ただし、この方法は約束事があったとしても口約束だけになり、たとえば養育費を約束していても反故されてしまう可能性があり、補償がありません。
公正証書を作成した場合の費用
公証役場で公証人を挟んで公正証書を作成した場合には費用が発生します。
公正証書は、夫婦で取り決めた養育費や慰謝料、子どもがいる場合の面談の回数などを書き出して、公証役場に持っていき公証人に正式な書面にしてもらったものです。取り決めた内容は法的に認められますので、協議離婚の際には作成しておくと後にもめなくて済みます。
公正証書作成にかかる費用は公証人法という法律に基づいて、その金額は全国で統一されています。
養育費・慰謝料・財産分与の合計金額 | 公正証書作成時における基本の費用 |
---|---|
100万円まで | 5,000円 |
200万円まで | 7,000円 |
500万円まで | 11,000円 |
1,000万円まで | 17,000円 |
3,000万円まで | 23,000円 |
5,000万円まで | 29,000円 |
表の左側の金額は、離婚が成立してから向こう10年分の養育費・慰謝料・財産分与の合計金額になっています。その額に基づいて公正証書作成の金額が決まるのです。
ただし、公正証書作成における用紙代や雑費などがかかった場合、その分の請求も来ることがありますので、公正証書の作成をお願いする公証役場の窓口で尋ねてみてください。
離婚調停とその費用
離婚調停とは、正式には夫婦関係調整調停といい、家庭裁判所にて調停をおこなうものです。離婚調停にかかる費用は、自分でおこなった場合と弁護士など代理人を立てた場合に分けて解説していきます。
離婚調停を自分でおこなう場合
自分で離婚調停に臨む場合の費用は、それほどお金がかかりません。
- 調停の申立てのための費用
→2,000円
<内訳>
- 印紙代:1,200円
- 呼び出し状の貼付け切手代:800円
このほかに裁判所に行くまでの交通費がかかります。交通費は調停をおこなう側が費用を負担することになっていますので、相手が近い場所に住んでいるならばおおよその費用は10,000円前後で済んでしまいます。
もし、相手が遠い場所に住んでいる場合は交通費が思った以上に高くなることもありますので、事前に交通費を調べて準備しておいた方がいいでしょう。調停で勝ったとしても申し立てられる側に交通費を請求することはできませんので、注意してくださいね。
離婚調停を弁護士に頼んだ場合
離婚調停は法律が絡むことですので、やはり専門家にお願いしたいというケースが多いようです。弁護士に調停を依頼するときにまず相談をすることになります。相談料は30分5,000円のところが多いようです。最近では無料相談サービスをおこなっているところも多いので、そちらを利用すると相談料がかかりません。
相談した弁護士に調停をお願いすることになったら、着手金を支払います。着手金は20万円から50万円かかります。その後、調停が終了したときに着手金とほぼ同じ額の報酬を支払います。報酬以外に弁護士の交通費・日当(報酬に含まれることがある)雑費などがかかってきます。
また、慰謝料・養育費・財産分与によって、着手金や報酬額が増えることがあります。そうすると最終的に離婚が成立するときには以下のような費用が発生していることになります。
- 相談料+着手金+調停申し立て費用+報酬額・日当+交通費+雑費
→60万円から100万円くらい
審判離婚とその費用
調停をおこなったときに当事者の間で合意されずに離婚が成立しなかった場合、家庭裁判所は離婚が相当であると判断した時に職権で審判を下すことができるシステムを審判離婚といいます。
ただし、審判離婚はかなり限定的な場合にしかおこなわれないことと、どちらかが意義を申し立てた場合に審判が無効になりますので、あまり使われることはありません。審判離婚にかかる費用は、調停離婚とほぼ同じ額になります。
離婚裁判とその費用
離婚裁判とは、調停離婚で離婚が成立しなかった場合に離婚訴訟を起こすことです。離婚裁判を起こす際、家庭裁判所に訴状を提出します。
このときに印紙代と郵券がかかり、離婚だけの訴状ならば13,000円ほど。養育費や財産分与なども合わせて求める場合は1,200円ずつ印紙代が増えていきます。
ただし、これは離婚裁判を自分でおこなったときの金額です。離婚裁判は、法律に詳しくないと自分で勝ち取るのは非常に難しいところです。多くの場合、法律の専門である弁護士に依頼することになります。離婚訴訟提起した場合の弁護士に支払う金額はおおよそ以下のようになります。
- 離婚裁判を起こす際の着手金
→約20万円から40万円くらい
- 離婚裁判が終了したときの報酬
→約40万円から60万円くらい
慰謝料・養育費・財産分与を獲得した場合や弁護士の日当や交通費、雑費などが加算されることもありますので、費用に関しては事前に弁護士としっかり相談しておきましょう。
なお、離婚裁判のときに裁判所に支払う費用は、離婚訴訟提起したほうが支払うことになり、申し立てられた方は支払い義務がありません。
離婚の調停はよく聞くけど交通費は申し立てた側が負担しないといけないんだね!
そういうことじゃ!
更にここから相手に離婚原因がある場合のもらえる慰謝料について解説しよう!
旦那に離婚原因がある場合のもらえる慰謝料
離婚するときに旦那の方にその原因があった場合、どのくらいの慰謝料をもらうことができるのでしょうか。また、子どもがいる場合に養育費は支払ってもらえるのか、その場合いくらくらいになるのかを解説していきます。
慰謝料の相場は200万円から300万円!?
慰謝料とは、苦痛を与えられた側に苦痛を与えた側が支払うお金のことをいいます。もし夫の方が浮気をしてそれが原因で離婚をした場合の慰謝料の相場はあくまで一般的な金額ではありますが、200万円から300万円といわれています。
金額については、浮気や不倫などによる損害が大きければ大きいほど高額になっていきます。慰謝料200万円から300万円という額は、離婚裁判をおこなったときの平均金額ですので、裁判をおこなわずに話し合いで金額を決めた場合などはこの金額にならないことがほとんどです。
また、どのような状況にあったかによっても慰謝料の額は変わってきますので、例を挙げて解説してみましょう。
【例 1】
「二度と浮気はしないと約束していた場合」
たとえば、「浮気はもう二度としない。」と約束していたにもかかわらず、再度浮気をしたために離婚に至った場合、裁判では約束を反故することは悪質であると判断し、慰謝料が増額となる場合があります。
続けてもうひとつ例を出してみましょう。
【例 2】
「浮気は明らかなのに否定し続けられた場合」
浮気が明らかに認められるといった状況なのに、なおも浮気を否認し続けていた場合、裁判では被害者である妻の心情を踏みにじる行為であると判断し、増額の対象になることもあります。
このように、状況によって慰謝料は変わってきますので、どのようにして離婚に踏み切ったかを詳細にメモしておくといいでしょう。
精神的苦痛により病気になった場合の療養費
夫の浮気・不倫などにより精神的苦痛を受け、それが原因でうつ病になったり体調を崩して通院を余儀なくされた場合、療養費を支払ってもらうことができる場合があります。そのためには、その証拠となる担当医師による診断書などが必要になります。
夫のしたことが精神的損害であると認められると、慰謝料に療養費が加算されることがあります。もし必要ならば、弁護士と担当医師に相談してみるといいでしょう。
養育費は子供の人数・年齢と夫・妻の年収で決まる!
養育費は子供を妻が引き取った場合、夫から支払ってもらう子供の育成費用になります。夫が原因で離婚をした場合は養育費を夫に支払ってもらうことができるのです。その算定方法は、裁判所による養育費・婚姻費用算定表で決まっていて、夫の年収と妻の年収で金額が左右されます。
たとえば、夫が給与所得者で源泉徴収票の支払金額が700万円であり、妻が給与所得者で源泉徴収票の支払金額が200万円であった場合の養育費は以下のようになります。
- 子供(0~14歳) 1人の場合=毎月:4万円から6万円
- 子供(0~14歳)2人の場合=毎月:8万円から10万円
また、夫が自営業で650万円の所得で、妻が無職の場合。
- 子供(0~14歳)1人の場合=毎月:8万円から10万円
- 子供(0~14歳)2人の場合=毎月:14万円から16万円
と、このように表に当てはめることで、毎月の養育費が決まるのです。
「○万円から○万円まで」とあるように約2万円の差があるのは、年収が表の数値ギリギリであると、養育費の支払いが困難になりかねないため、1万円から2万円の幅を持たせてあるのです。
離婚後も子供は成長していきますし、成長するにつれ学費の負担も大きくなります。養育費は子供のための費用ですので、表を参考にしてきちんとした金額を受け取るようにしましょう。
養育費は子供を育てる為のお金。
払ってもらえない事がないようにちゃんと手続きをしておきたいね!
離婚が決まるまで生活費はもらえる権利がある!
離婚調停中などで離婚が決定するまで別居をしている場合、生活費が非常に心配なところです。夫と別居している間は生活費はどうなるのかというと、結論から言えば夫に生活費を請求することはできます。
離婚が成立するまでは結婚しているのですから、婚姻費用として生活費を保障してもらうことができます。
婚姻費用とは?
婚姻費用とは、夫婦の離婚が成立するまでの間にかかる生活費のことで、婚姻中は夫婦がお互いに助け合って生活をしていくわけですから、たとえ別居であろうと住居費・子供の学費・生活費は夫婦で助け合って賄っていかなくてはなりません。
離婚の原因が夫にあり、なおかつ収入の高い夫が生活費を払ってくれない場合は,婚姻費用分担請求をして生活費を支払ってもらいましょう。もし生活費をもらっていないのなら、「別居中だし離婚するのだから仕方ない。」と諦めてしまわないで、弁護士や裁判所、公証役場などで相談してみてください。
ただし婚姻費用は離婚の原因がどちらにあるか、どれだけの責任があるか、収入はどちらが多いかによって決まりますので、必ずもらえるものとは限りません。
婚姻費用の算定方法
婚姻費用は、養育費の章で出てきた養育費・婚姻費用算定表を使用して金額を出します。
たとえば、夫が給与所得者で源泉徴収票の支払金額が800万円であり、妻が給与所得者で源泉徴収票の支払金額が200万円であった場合、婚姻費用は毎月8万円から10万円支払われるということになります。
もし15歳から19歳までの子供が1人いて、妻が子供と一緒に生活をしている場合、婚姻費用は毎月12万円から14万円支払われることなりますので、自分の状況と収入、相手の収入などを照らし合わせて表の中から適切な金額を算定するようにしましょう。
ただし、婚姻費用がもらえない一例として、夫婦2人が離婚前に別居しているとして、夫が給与所得者で源泉徴収票の支払金額が520万円であり、妻が給与所得者で源泉徴収票の支払金額が同じく520万円であった場合の婚姻費用は0円になります。
婚姻費用がもらえる期間は請求してから離婚するまで
婚姻費用は請求をしたときからもらうことができますので、できるだけ早く請求したほうがいいでしょう。もし、請求前から別居していたとしても、基本的に請求前の生活費まで支払ってもらうことはできません。例外として請求し支払ってもらうこともありますが、弁護士などの専門的な知識と請求できる要因がなければ難しいといえるでしょう。
もし夫婦が離婚までの間同居しているとして、夫が収入を一方的に確保してしまい妻に生活費を渡していない場合でも、婚姻費用分担請求を認めてもらえます。同居していても生活費がもらえないのであれば、すぐに請求するようにしてください。
婚姻費用分担請求の終了は、離婚が決定するまでもしくは再度同居するまでとなります。離婚が成立した後ではもちろん婚姻費用を請求することはできませんので、気を付けてくださいね。
離婚したくてもお金がなくて、家から出たくても出れない場合もこの婚姻費用が当てはまります。詳しくは、離婚したい!でも出ていくお金がない時はどうすれば良い?の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
離婚にかかる費用について解説してきましたがいかがでしたか?
離婚を自分たちでするならば離婚のための費用はそれほどかかりません。しかし、法的に今後の生活を保障してもらったり親権の獲得には、やはり専門家である弁護士の知識が必要になってきます。
離婚裁判は精神的にも体力的にも非常に消耗するものですので、お金がかかっても専門家にお願いするほうが自分で裁判を起こすよりも楽になります。そういった面から、離婚裁判に強い弁護士を探しておく方がいいのではないでしょうか。